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​ユニHO

生まれたときから目は見えなかった。

皆の話す「キレイ」や「カワイイ」を共有できないこと

当たり前が当たり前じゃないこと

 

ただ生きていくだけで、

 歩いていくだけで、

付きまとい続ける恐怖感。

 

音楽は好きだ。

私にも、分かるから。

けれどピアノがどんな形なのか

どんな色をしているのか

私には分からない。

 

3 人の幼馴染は恐怖感で溢れた私の日常を

いともたやすく鮮やかにしてくれる。

彼らには本当に感謝してもしきれない。

ずっと一緒にいられたらいいのに。

けれどその気持ちと同じくらい、

私のことで彼らを拘束させたくない。

 

私は 3 人とは違う高校へ進学した。

学校が変わっても、彼らは変わらず私に接してくれた。

毎日のように学校に迎えにきてくれた。

彼らがいなければ、私はとっくの前にダメになっていたと思う。

 

彼らのいない高校生活は地獄だった。

面白半分でからかわれたり、 冗談では済まないようなこともされた。 盲目の私には、ほんのささいな嫌がらせでも

感じる恐怖はすさまじいものだった。

それがなくとも、1人きりで歩く廊下が

あんなにも怖いものだと私は今まで知らなかった。

 

3 人には言わなかった。

これ以上彼らの人生を左右するわけにはいかない。

心配をかけたくない。

どんなにつらくとも、1人で生きていかなくちゃいけない。

 

 

そんな矢先、事件が起きた。

 

 

何も見えない世界で、3 人はなにやら慌てている。

 

閉じ込められた?

扉が開かない?

 

3 人の会話を聞きながら必死に理解しようとする。

 

私は「みんなの日常を取り戻すため」探索を手伝うことに決めた。

私にできることなんて限られているけど…

 

でも、もしもこのまま出られなかったら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなとずっと、一緒にいられるのかな。

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