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ア・モデラート・リストリクト
エトHO
僕は天才だ。
昔から何をするにも結果を出し、
周囲の人間に一目置かれてきた。
しかしそれは気を抜けば崩れ落ちるものだと
僕はちゃんと知っている。
なぜなら僕は頭が良いからな!
僕は自分が天才であることを証明し続けるためなら
どんな努力もいとわない。
自分を着飾り、それが付加価値になるならば
スキンケアだって怠らないぞ。
僕の最大の才能は
生まれ持った頭の良さでも
地球至上最強の美貌でもない。
努力を馬鹿にしないことだ!
*
尊敬する父は大手企業の社長をしている。
父はとても厳しいが、結果を出せば手放しで褒めてくれる。
平社員だった父が社長まで上り詰めたのは
確実に父の類まれなる才能と器量のおかげだろう。
才のある遺伝子を継げたこと、
父の息子であることがなによりの誇りだ。
そしてその遺伝子を継ぐ人間が
もう一人増えることが決まっている。
なんと今、母のお腹には新たな命が宿っているのだ!
最愛の妹が産まれてくる日を
僕はいまかいまかと待ち望んでいる。
早く会いたい。
妹が誇れる兄になれるよう
僕はこれからも天才でいる努力を惜しまない。
そんな矢先、事件が起きた。
どうして僕らが閉じ込められたのか
それはさっぱりわからないが
目の前にある謎を解くことはできる。
とにかく脱出のためには謎を解いていくしかない。
こんなところで今までの努力を
無駄にされてたまるものか!
妹を抱けないまま、諦めるわけにはいかない。
僕らならきっと脱出できる。
なぜなら、僕がいるから!
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