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​エンディング2

ユニがソファで休んでいると

探索に出掛けた 3 人がリビング・ルームに戻ってきた。

 

ユニは不安そうに右手をきゅっと握る。

3 人はみな、何かを決意したような顔をしていた。

 

エト「さて、それぞれ探索をしてもらったわけだが

結論から言うと脱出する手がかりはなかった。

そこで考えたわけだが、ここには生活に必要最低限のものが揃っている。

僕は 4 人で生き延びることを優先したい」

 

トリ「ああ、俺も同じことを考えていた。

この施設はどう考えてもおかしい。

きっとはじめから出口なんて用意されてねえんだよ…

まあでも、殺す気はねえみたいだし」

 

ルテ「アタシもそう思う…。

脱出させる気ないのに、生活させる気は満々ってカンジ

不安がないわけじゃないけどさ、 ま、みんないればなんとかなるよ!」

 

ユニは驚いた。3 人が自分と同じ気持ちでいたことに。

 

ユニ「ここで、4 人一緒に暮らすってこと?」

 

3 人はユニの言葉に頷く。

ユニは目頭が熱くなるのを感じた。

涙が零れそうになり、必死に堪える。

 

ユニ「嬉しい。私も本当はそうしたいって、

そうなったらいいなって思ってた」

 

4人はここで暮らしていくことに決めた。

 

施設での生活がはじまった。

 

エトは栽培関連の本を読み漁り、知識を手に入れ

トリを筆頭にシゼンノヘヤで食物を育てはじめた。

 

育てた食物や、倉庫に備蓄されている食糧を使って

ルテはキッチンで 3 人に料理を振る舞う。

 

ユニはルテと共に風呂に入ったり、

暇を持てあましたトリのへたくそなピアノを聞いて過ごした。

 

閉じ込められているのが嘘のような生活が続き

4 人は次第に脱出に対しての意欲を失っていく。

 

 

 

 

ユニはとても幸せだった。

 

おはようからおやすみまで

3 人の幼馴染みと時間を共有できる。

 

それがなにより嬉しかった。

 

盲目のユニにとって

孤独は恐怖そのものだったからだ。

 

 

3 人もユニといる時間が増えたことで

これまで以上に彼女を支えた。

 

 

今までに感じたことのない大きな幸福感。

 

この施設の中で、自分だけが 3 人の愛情を受けることが出来る。

他でもない自分だけが、拘束することを許される。

 

 

ユニは 3 人が寝静まったある夜、

産まれてはじめて一人で火を扱った。

火傷しないよう、慎重に、慎重に

ポケットから取り出した紙を火の中へ入れる。

 

それはみるみるうちに消えてなくなり、

ユニはそれの感触によって得た言葉を思い出していた。

 

ユニが呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで、ずっと一緒」

 

BAD END「緩やかな拘束」

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